私選弁護人と国選弁護人の違いは、弁護人と契約をする相手の違いで、弁護の質・内容に違いはありません。
私選弁護人は、被疑者・被告人やその家族・友人などが弁護士と契約をします。費用は、依頼者からいただきます。
国選弁護人は、被疑者・被告人などが弁護士をつけることができない場合に、国が選んだ弁護人です。私選弁護人をつける経済的余裕がない(50万円以上の現金・預金等がない)などの事情がある場合につけられます。費用は、ほとんどの場合、国が負担します。
私選弁護人と国選弁護人で、弁護の質・内容に違いはありません。正確にいうと違いがあってはなりません。当事務所では、私選弁護・国選弁護のいずれでも、やることに変わりはありません。むしろ、積極的に国選弁護を引き受け、他の弁護士が断る困難な事件も担当しています。
しかし、国選弁護人には、次のようなデメリットもあります。
■国選弁護人は選べない
国選弁護人は、依頼者が選ぶことはできません。国選弁護人は、あらかじめ登録されている名簿にしたがってアトランダムに選ばれます。選ばれた弁護人に不満があっても、別の国選弁護人に変えることは原則としてできません。
なお、国選弁護人がついていても、私選弁護人をつけると、国選弁護人は解任されます。
■勾留されていない事件には国選弁護人はつけられない
勾留されていない事件には、国選弁護人をつけることはできません。
捜査機関の取り調べに対するアドバイスを受けたり被害者との示談などをするためには、私選弁護人をつける必要があります。
■逮捕直後には国選弁護人はつけられない
国選弁護人は、勾留されないとつけることができませんので、逮捕直後にはつけることはできません。逮捕直後に弁護人をつけるためには、私選弁護人をつける必要があります。
なお、私選弁護人を頼む経済的余裕がない方の場合、当番弁護士を頼むこともできますが、弁護士を選ぶことはできません。当番弁護士については、栃木県弁護士会のホームページを参照してください。●当番弁護士のPR動画(日弁連制作)
■複数専任ができない
国選弁護人は、裁判員裁判や特殊な事情がある事件を除いて1人しか選ばれません。えん罪事件で犯罪事実を争っている場合でも、1人の国選弁護人しか選ばれません。困難な事件では、1人の弁護人で弁護することは時間的・物理的な制限があります。
■調査に限界がある
国選弁護人の報酬は、極めて安く裁判準備に必要な費用も支払われないこともあるため、事件によっては報酬が費用で消えるどころか、マイナスになることもあります。無実の事件とはいえ、必要な調査に限界がある場合があります。