昨年末、控訴審の保釈が却下された。
依頼人は、一審では、保釈が認められており、有罪判決が出て収監された。
控訴審になって、なぜか罪証隠滅や逃亡のおそれが急に高まったようだ。
依頼人は、ある依存症で、それが事件発生に大きな影響を与えていた。一審の保釈後、専門の病院に入院するなどして、依存症の治療を行っていた。
執行猶予中の事件であったため、無罪主張をしていないので、実刑判決が出ることは確実であった。依頼人は、そのことは充分に承知して、判決の日には着替えなどを持参して出廷をし、収監された。
この事実は、依頼人が逃亡をしないことの根拠となるものであることはいうまでもない。
しかし、宇都宮地裁も東京高裁も、依頼人の保釈請求を却下した。非常識きわまりない判断である。
拘置所の中では、依存症の治療を受けることができない。拘置所の中で無益に過ごすのと、保釈されて依存症の治療を受けることのどちらが良いか、誰が考えてもわかることだ。
検察官は、依存症の治療は出所後でもできる、と平気で言う。一審で証言した精神科医は、「出所後に再びやってしまうことが多い。昔の恋人を出会って燃え上がるようなものですから。」と述べていた。検察官は、依存症のことをまったくわかっておらず、そもそも有罪判決をとることだけで、再犯防止なんか本気で考えていない。
裁判官も検察官も法律家のはずだ。法律家であるならば、人の人生を真面目に考えてほしい。